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「ザ・シークレット」引き寄せの法則。


 引き寄せの法則についての本、「ザ・シークレット」の感想です。昨日、読み終わったばかりなのですが、一週間くらいかけてゆっくりと読みました。一言で言うと、とても耳触りのいい事をささやいてくれる本です。

 「あなたは、ただ望むだけで、その願望を手に入れることができる」そう言われたら、すごく気持ちよくなりませんか?しかも、願望を引き寄せるまでは、ただただ悪いことは考えず気持ちよい気分でいなさい、とまで言っているんです。

 「ザ・シークレット」は、私にとっての初の自己啓発本であり、スピリチュアル本です。30年間一度も、こうした本を書店で求め、読む機会がありませんでした。そんな中、この本を手に取ったのは、私が深刻に悩みつめ、その様子を感じ取った一人の友人が、「引き寄せの法則」の存在を教えてくれたからです。引き寄せの法則を教えてもらってから、私はネットでその内容を詳しく調べ始めはじめ、その大方の考え方を知りました。そして、さらに深く内容を知ろうと思い、最近になって「ザ・シークレット」を読み始めたのです。

 正直、私が深く悩んでいる状態になければ、この本を手に取ることはなかったと思います。だって、望めば叶うなんて、胡散臭くて信じられないじゃないですか。スピリチュアルなことに興味があるといっても、パワースポットへ行くくらいのミーハーな程度で、本を読んだり、何かを身に付けたり、セミナーに参加したりなんて、全然興味がなかったのです。

 でも、この世には科学で解明できない霊的な現象はあると信じてはいます。ただ、お金の匂いのするものには、近寄らないようにしています。伊勢神宮へ行き、お守りを買い、赤福を食べるのも、十分にお金の匂いがしますが、これはちょっと違いますよね。

 話が逸れましたが、「ザ・シークレット」は、全世界2500万部の大ベストセラーで、日本では角川書店から販売されています。著者はロンダ・バーンさんというアメリカ在住の女性です。彼女には、テレビ番組のプロデューサーという経歴があり、この全世界での大ヒットは、文章家や思想家としての才能ではなく、マーケティング戦略を実行するプロデューサーとしての力量によるものだと思います。

 先にも言いましたが、内容はごくシンプルなものです。端的に言えば「願えば叶う」ということです。そして、それを裏付けるために、繰り返し偉人や著名人の言葉を引用し続けているだけです。だから、ロンダ・バーンさん本人の文章力や思想はそんなに必要としていません。

 実行を伴わなず、思考するだけで願望が実現するというのは、努力という苦しいものや、失敗という恐ろしいものを経験しなくて済むので、脆弱な心の持ち主にとっては、大変に魅力的な考え方です。そして、私たちは一部の例外を除いて、脆弱な心しか持ち合わせていないものです。魅力的なことを、魅力的に表現し、売り出す手法を編み出したロンダ・バーン氏は素晴らしいプロデューサーだと思います。

 ここまでの内容を読んだ方は、「ザ・シークレット」は、売り方はすごいんだけど、内容は薄い、と思われたに違いありません。その他のこの手の本を読んだことがないのですが、確かにそれについては、否定はできない気がします。しかし、読んでいる内に、根拠のない自信が溢れてきて、ついでに行動力も出てくると思います。それが、この本を読む意味なのではないかと。

 つまり、「願うだけで願望を引き寄せられる」というこの本の大きな論旨を、偉人や著名人の言葉を借りて、何度も刷りこみ、それを行動へも影響させることが、この本の目的であると思います。意識薄弱な「普通の人」である私たちは、何か行動しようと思っても、なかなかそれを実行には移せません。しかし、入り口で「行動はしなくてもいいよ。願うだけでいいんだよ」と甘い誘いを受ければ、願望実現へ向けての登山へと一歩踏み出せるのではないでしょうか。結果として、登り始めた山は登りきるしかなく、願望が実現しやすくなるのだと思います。

 願望へこちらから向かっていくと同時に、願望もこちらへ向かってくるという、スピリチュアルな意味合いについては、実際に不可思議なことを何度か経験しなければ、わからないことです。そして、それを霊的な現象とみるか、ただの偶然とみるかは、その人次第でもあります。「引き寄せの法則」については、信じる人は信じたらいいし、そうじゃない人は信じなければいいと思います。

 引き寄せの法則に対する私の考えのようになってしまいましたが、「ザ・シークレット」は、引き寄せの法則について、ネットで調べた以上の何かを教えてくれるものではないと思います。深い内容を期待して読むと、がっかりする人もいるかもしれません。アマゾンのレビューを見るとそんな人もちらほらいますよね。ただ、人生を好転させたくて、もがいているとか、叶えたい夢があるとかいう人が、魂のサプリメント的に読むのには、おすすめできると思いますよ。初めにも書きましたが、批判的な意味でなく、とても耳触りのいい言葉を投げかけてくれるので、元気が出て、気持ちが明るくなります。

『ザ・シークレット』ロンダ・バーン 角川書店のページ
ザ・シークレット英語版公式ページ